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それが運命の恋ならば
第5章 真実の口
「…それから月日は流れ…李人様が14歳になられた年、雪乃様は桃馬様を身篭られました。
雪乃様は大層喜ばれました。
『李人に弟か妹ができるわ。
赤ちゃんが生まれれば、この家もきっと今よりずっとずっと明るくなるわ』…と。
雪乃様は喜び勇んで、ご懐妊を旦那様に告げられました」

…けれど…
いとの禅に良く似た意志的な眼差しが哀しみに曇る。

「…開口一番、旦那様は雪乃様に冷たく仰いました。
『誰の子なのだ』と…」

李人が貌を歪め、大理石のマントルピースを拳で叩いた。
「なんてことだ…!」

凪子の胸は張り裂けそうになる。
李人の感情に共鳴したかのように…鋭いナイフで切り裂かれたかのよう激しく痛んだのだ。

「クソ野郎!クソクソクソ!サイテーのクソ野郎だ!」
桃馬が興奮したように罵声を浴びせる。
「桃馬様…!」
禅が桃馬を抱きすくめながら、いとに訴える。

「母さん!
桃馬様はまだ高校生ですよ。
そんな残酷な話をなぜ、わざわざ聞かせないといけないのですか?」

いとは桃馬に手を合わせ、頭を下げた。

「お許しください。桃馬様。
貴方様をこんなに傷つけて…いとは地獄に落ちますね…。
…けれど、真実に向かい合わずに、ひとは生きてはいけません。
そして、私にできることはたったひとつだけなのです。
隠された真実を、皆様にお伝えすること。
それが雪乃様への何よりの供養となるのです」

桃馬が禅の胸を押しやり、きっぱりと言い放つ。
「…いいよ。続けてよ。いと。
俺はこんなことで傷つくような陰キャじゃねえし。
めっちゃハラ立っただけだし。
クソ野郎のオヤジの話、最後まで聞いてやるし。
そんであとで墓石ボコりにいくし!」

「…桃馬さん…」
凪子は涙に濡れた瞳で桃馬を見上げた。

桃馬は微かに潤んだ眼差しで、笑って見せた。

「…凪子ちゃんにダッセ〜とこ、見せらんねえしな」


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