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それが運命の恋ならば
第5章 真実の口
「…そうして、お二人はお別れになられ、それからは二度と会われることはありませんでした。
雪乃様は暫くの療養ののち、桃馬様をご出産になり、こちらに戻られました」

「…そうだったのか…。
母がなぜ、桃馬を産んだのち、いつも哀しげな貌をしていたのか…。
何かを追い求めるかのように遠くを見つめていたのか…。
それが不思議だったのだ…。
父はなんとなくピリピリしていたけれど、いつものことかと思っていた…」
昔を思い返すような静かな口調にはしかし、酷く苦しげな色が帯びていた。
凪子の胸は我がことのようにずきりと痛んだ。

「…ねえ、いと。
お母様は俺が生まれてすぐにオヤジと事故で亡くなったんだろ?
事故て何?
俺、詳しく聞かされたことないんだけど」 

いとは不意をつかれたように眼を見張り…トキと視線を合わせると、覚悟を決めたように口を開いた。

「…あの日、雪乃様は急に旦那様をドライブに誘われました。
そんなことは初めてのことでございました。
しかも運転は雪乃様でございました。
…旦那様の愛車のメルセデス…。
雪乃様は運転免許はお持ちでしたが、その日までお車には触ったこともなかったのです…。
前日に、運転手に車のことを細かく聞いておられました。
…行き先は、軽井沢の別荘です。
折しも初雪が降り出した初冬のことでした」

「なんでそんな急に?赤ん坊の俺を置いて?
おかしいじゃないか」
桃馬が焦れたように声を上げる。

いとの静謐な声がそれに続く。

「…雪乃様はその前日、私をお部屋に呼ばれ、こう仰いました。
『李人と桃馬を頼みます。
私は自分の成すべきことを、成さねばなりません』と…」
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