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それが運命の恋ならば
第5章 真実の口
「…禅さ…」
驚きに身動ぎしようとする凪子を封じ込めるかのように、男は尚も強く抱き締める。
「…今だけ…今だけこのままでいさせてください…!
貴女に触れることは…もうできないのですから…!」
苦しげな熱い息吹が、凪子の耳朶をじわりと染める。
「…あ…」
…禅の逞しい胸板からは、針葉樹の薫りと、微かな海の香りが漂った。
凪子の身体が、蜜蝋に炙られたように熱くなる。
「…貴女が好きだ…。
愛しています…!」
その狂おしい愛の言葉に、びくりと身体が震える。
「愛しています…!
こんなにもひとりの女性を愛したことは生まれて初めてだ…。
初めてお会いした時から…ずっと…苦しかった…。
どうしようもないほどに、貴女を愛している…!」
「…禅さん…」
禅の真摯な熱い愛の告白に、凪子の胸は激しく揺さぶられる。
…私…私だって…。
凪子はおずおずと男の胸から貌を上げる。
…このひとに、特別な感情を抱いていた…。
李人に抱かれるとき、この男はいつも凪子を、その深く美しい夜の海の瞳で見つめていた…。
その瞳が、その手の温もりが、あまりに近くて、李人に抱かれているのか、この男に抱かれているのか、分からなくなるほどに…愛の境界線が曖昧になるほどだったのだ…。
「…禅さん…」
見上げる凪子の白く滑らかな頬を、禅の大きな手が情熱を込めて包み込む。
「…貴女をここから連れ去りたい…!
貴女を…私だけのものにしたい…!」
熱情のまま、呻るように告げる。
…そうして…
「…ぜん…さ…」
凪子の震える口唇を、儚げな花を散らすように荒々しく奪っていった。
驚きに身動ぎしようとする凪子を封じ込めるかのように、男は尚も強く抱き締める。
「…今だけ…今だけこのままでいさせてください…!
貴女に触れることは…もうできないのですから…!」
苦しげな熱い息吹が、凪子の耳朶をじわりと染める。
「…あ…」
…禅の逞しい胸板からは、針葉樹の薫りと、微かな海の香りが漂った。
凪子の身体が、蜜蝋に炙られたように熱くなる。
「…貴女が好きだ…。
愛しています…!」
その狂おしい愛の言葉に、びくりと身体が震える。
「愛しています…!
こんなにもひとりの女性を愛したことは生まれて初めてだ…。
初めてお会いした時から…ずっと…苦しかった…。
どうしようもないほどに、貴女を愛している…!」
「…禅さん…」
禅の真摯な熱い愛の告白に、凪子の胸は激しく揺さぶられる。
…私…私だって…。
凪子はおずおずと男の胸から貌を上げる。
…このひとに、特別な感情を抱いていた…。
李人に抱かれるとき、この男はいつも凪子を、その深く美しい夜の海の瞳で見つめていた…。
その瞳が、その手の温もりが、あまりに近くて、李人に抱かれているのか、この男に抱かれているのか、分からなくなるほどに…愛の境界線が曖昧になるほどだったのだ…。
「…禅さん…」
見上げる凪子の白く滑らかな頬を、禅の大きな手が情熱を込めて包み込む。
「…貴女をここから連れ去りたい…!
貴女を…私だけのものにしたい…!」
熱情のまま、呻るように告げる。
…そうして…
「…ぜん…さ…」
凪子の震える口唇を、儚げな花を散らすように荒々しく奪っていった。