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それが運命の恋ならば
第1章 出逢い
…良かった…。
なんとか、一日が終わったわ…。

真新しい檜の香り漂う広い湯船に浸かり、凪子はそっと息を吐いた。
温かな、微かに硫黄の匂いがする温泉に浸かり、身も心もゆったりと解放されるような安堵感に包まれる。

こんな広い檜風呂に入るのは生まれて初めてだ。
尼寺では古びた浴槽だったし、いつも遠慮して仕舞い風呂だった。
ゆっくり入浴を楽しむような生活ではなかった。
温泉にも入ったことはない。

この家の風呂は天然温泉の源泉を引き入れているのだとトキが入浴の支度を整えながら、教えてくれた。
『ですから、二十四時間お好きな時にご入浴なさることができますよ』
微かな微笑みを見せ、言葉少なに付け足した。

…トキさんは案外優しいひとなのかもしれない…。
凪子は思い出し、微笑んだ。

…紹介されたこちらの方々も、良さそうな方ばかりだったし…。

ふと、庭師の岩田の面影が胸に浮かんだ。

…印象的なひとだったわ。
彫りの深い、異国人めいた…どこか陰のある面差しだった。

…庭師さん…だったわね。

尼寺にも庭師は出入りしていた。
けれど、彼らは皆、老人ばかりで、岩田のように若く逞しい男は初めて見たのだ。

…李人様の乳兄弟…て仰っていたわ。

岩田を説明する李人の表情はとても柔らかく親しげだった。

…きっと、仲睦まじい間柄でいらっしゃるのだわ。

凪子は微笑ましくなり、温かい気持ちになった。

…あとは…

金髪にピアスの李人の弟、高校生の桃馬…。

凪子は思わず吹き出した。

…最初は怖そうだったけれど、お話したらちっとも怖くなかったわ。

金髪を褒めた凪子に、桃馬は少し居心地悪そうに、眼を瞬かせ肩を竦めて見せた。

『あんたさあ、ソートー世間知らずかソートー変わってるか、どっちかだな』

凪子はくすくす笑いながら、硫黄の香りがするお湯で貌を洗った。

…こんなにわくわくした気持ち…初めて…。

来て良かった…。

胸にふわりと浮かんだ李人の端麗な面影…そして、生まれて初めての口づけに胸を高鳴らせる。
凪子は改めて、甘く切ないような感情を噛み締めるのだった。

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