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それが運命の恋ならば
第7章 その薔薇の名前は
「どうかしましたか?」
優しい微笑みを浮かべながら、青年は凪子を見つめる。

「…あの…あまりにお美しい方で…驚いてしまいました…」
辿々しく答える凪子に、彼は無邪気ににっこりと笑った。
「ありがとうございます。
…けれど、それは私の台詞ですよ。
凪子さん。
貴女がこんなにもお美しく可愛らしい方だとは…」

美しい作りものめいた青年の手が優雅に差し出される。
吸い寄せられるように、凪子は手を伸べていた。
その白い手をしなやかに受け取ると、青年は恭しく白い甲に敬愛のキスを落とした。

琥珀色の美しい瞳が、眩しげに凪子を見上げる。

「…初めまして。凪子さん。
高遠千晴です。
お会いできて光栄です」

…そう、六月の風に甘く揺れる白い薔薇を背景に、青年は優しく微笑んだのだ。
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