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それが運命の恋ならば
第7章 その薔薇の名前は
「…千晴様…」
色々と衝撃が多すぎて、凪子は言葉を失った。
「…あの…。
千晴様は…私のことを…」
…どこまでご存知なのだろうか…。

千晴は再び凪子をテーブルに着かせると、凪子の為にしなやかな所作でお茶を注いだ。

「そうですね…。
大まかなことは…存じ上げております。
…一族の会合やお茶会に出た時にね。
高遠ご本家の泰彦様は、今まで孤独の当主でいらした。
美人の人妻との悲恋、奥方様との不仲の末の離婚。心臓のご持病。
…そして探し求めていたお嬢様との再会…。
ご病気も治られて、一族の者はほっとしております。
お嬢様の献身的な看病のおかげでお元気になられたのですから。
だから皆、凪子さんの話題で持ちきりですよ。
美しき貴種流離譚の姫君のお話は、噂雀の格好の的…ですからね。
…失礼ながら、凪子さんがご結婚されていて、離縁されたことも、耳には入っておりました」
「…そうですか…」
「私はその話よりも凪子さん自身に衝撃を受けました。
お美しいとは伺っておりましたが…これほどまでにとは思いませんでした…。
…正直、驚きで一杯です」

…こんなにも眩しいほどにお美しく嫋やかな方だとは…。

再び、艶やかな琥珀色の瞳がじっと凪子を見つめ、優しく微笑んだ。
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