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それが運命の恋ならば
第7章 その薔薇の名前は
「…あ…」
凪子の長い睫毛が哀しげに震える。

…本当に、細部まで繊細で美しい娘だと千晴は感心し、思わずうっとりと見惚れた。

…雪のように白く、きめ細やかな肌、絹糸のような黒髪、優美な形の眉…。
切れ長の瞳は黒眼勝ちで、しっとりと潤んでいる。
形の良い細い鼻梁、口唇は咲いたばかりの薔薇のように艶やかだ。

若い娘の容姿に見惚れるのは、滅多にないことだ。
初めてと言っても良い。
千晴は昔から美しい娘や婦人たちに囲まれて育った。
ありきたりの美人には見飽きたと言っても過言ではない。

…何よりも、千晴には少年時代からずっと愛してやまない最愛のひとがいる…。
そのひとが、世界中の誰よりも美しいと思う。

…けれど…

凪子に会って、驚くほどに心を揺り動かされている自分がいることに初めて気付くのだ…。




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