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それが運命の恋ならば
第1章 出逢い
…李人もまた純白の夜着を纏っていた。
上背があり、すらりと均整の取れた長躯の李人の白い夜着姿は、神々しいまでに美しかった。
凪子は思わず見惚れてしまったほどだ。

入れ替わりにトキが去り、李人はゆっくりと凪子の前に歩み寄る。
静かに片膝を着き、凪子の肩を優しく抱いた。

「…綺麗ですよ…。凪子さん…。
…こんなにお美しい方が、私の花嫁になってくださるとは…夢のようです」
…うっとりしたような低音の、まるでベルベットのように滑らかな美しい声が、凪子の鼓膜を震わせる。

「…そんな…私の方こそ…」
…こんなにも完璧な…美しく、優しく、頼もしい男性が、夫になるなんて…。
夢のようで信じられない思いと、これから起こるであろう夜の秘めごとに思いを馳せ、胸が苦しくなる。

…夜の閨事…。
尼寺に育ち、世間知らずな凪子だが、男女の夜の営みについては全く無知ではない。
ぼんやりと、そのことの知識はある。

「…本当に、可愛いひとだ…」
…柔らかな微笑…。
こんなにも優しく熱い眼差しで、見つめられたことはない。
半ば諦めて、嫁入りを決めたのに、こんなに幸せで良いのだろうか。

「…李人様…。
…私こそ…貴方のお嫁様になれて…幸せです…」
美しい夫の冴え冴えとした瞳を見つめ、震える小さな声で、告げる。

李人の一見近寄り難い美貌が、柔らかく微笑む。
「…凪子さん…。
ありがとう…」

…貴女で良かった…。

その微かに謎めいた言葉は、甘く優しい口づけに溶かされていく…。
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