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それが運命の恋ならば
第8章 その薔薇の名前は 〜千晴の告白〜
「…千晴さん…」
「誰のものにもならないで…。
僕が…僕が早く大人になるから…貴女に相応しい大人の男になるから…」
紫織の白い手が、優しく千晴を抱く。

「…千晴さん…貴方は私にお母様を求めているのよ」
「違う。
貴女は母様じゃない。
分かってる。
僕は貴女が好きなんだ。
一人の女性として。
愛しているんだ。
だから、待っていて。
僕が大人になるまで…」

「…大人になったら…?」
「貴女より背が高くなって、力も強くなって…それから…」
…そうじゃない。
そんなことじゃない。

「貴女は僕に恋をするんだ」

紫織はガブリエルがそっと花開くように、甘く艶やかに微笑った。
「…私が貴方に恋をしたら…ここから攫ってくれるの?
…ここから攫って…遠い世界へ連れて出して…」
歌うように、紫織は尋ねた。

「約束する。
貴女をここから攫って、連れ出して、二人で出ていくんだ…」

…二人だけの世界に…。

二人の視線が絡み合い、引き寄せ合う。

…と

「紫織…!紫織…!
どこにいるんだ…?
司祭が君にも会いたいと仰っているんだ」
温室の入り口から政彦の声が響き渡る。

はっと振り返ろうとする千晴の口唇に、柔らかくしっとりとした甘やかな感触が与えられた。

紫織の長く濃い睫毛が千晴のそれに重なり合う。
甘く微かにほろ苦い花蜜の薫りに抱かれる。

…柔らかな口唇は儚く離れ、紫織の白い腕も解かれた。

「…約束だわ…」

…微かな囁きだった。
紫織の黒い宝石のような瞳が星のように瞬き、白いドレスの残像がふわりと千晴の視界から消えた。

そうして、すべてが夢だったかのように、千晴だけが温室に取り残されたのだ…。

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