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それが運命の恋ならば
第9章 その薔薇の名前は 〜ローズガーデンの恋人たち〜
「…李人さ…」
…その先の言葉は、男の熱く激しい口づけに絡め取られ、柔らかく互いの口内に溶けていった…。

「…あ…んん…っ…」
「…凪子…!…愛している…!
やっと言える…。
…本当は…もっと早く君に愛を打ち明けたかった…」

口づけの合間に囁かれる甘い愛の言葉に、凪子はひたすらに酔いしれる。
「…りひと…さま…」
「…凪子…!」
柔らかな花弁のような口唇を貪りながら、ふと気付いたように真顔になり、不安げに凪子を見つめる。

「…高遠…千晴さんとは…婚約したの…?」
先ほどの友人たちの戯言を聞いていたのだろう。
凪子は小さく微笑み、首を振る。
「していません…。
千晴様は私の従兄弟です…。
それだけです…」

「良かった…!」
深いため息を吐き、李人は凪子の白い額に自分のそれを押し当てる。
眼が合い、二人はどちらからともなく、温かな幸福な笑い声を立てた。



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