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第1章 出逢い

翌日の夜、二人の結婚式はごく内輪だけで密やかに行われた。
恐らくそれは、孤児で身内のいない凪子を配慮してのことだったのだろう。

…それに、急遽決まった結婚なので、様々な準備も間に合わなかったに違いない。
ただ、急拵えの割には、凪子に用意された極上の白綸子の白無垢は全くの新品であった。
それは、前日に着せられた友禅の大振り袖のように真っさらではあるが、どこか年代を感じさせる古めかしいものではあった。

けれど、その相良刺繍の典雅な白無垢は凪子に誂えたようによく似合った。

化粧を施し、白い綿帽子を被らせ、凪子を見たトキからうっとりとため息が漏れたほどだ。

「…本当にお美しくていらっしゃる…。
李人様がご結婚を急がれるはずですわ…」

一見気難しそうなトキから賛美の言葉を与えられ、凪子は、はにかむように微笑んだ。