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それが運命の恋ならば
第9章 その薔薇の名前は 〜ローズガーデンの恋人たち〜
その美しいひとは、驚いたように大きな瞳を少女のように見張った。

「…まあ…。
私をご存知でいらっしゃるの?」
「はい。
千晴様に伺いました。
…紫織様は、千晴様の初恋の方だと…」

美しいひと…紫織はふっとため息を漏らすように微笑んだ。

「…何を仰いますやら…。
凪子様こそ…。
今、千晴様が夢中でいらっしゃるとお聴きしましたわ。
お二人はご婚約なさったのではないのですか…?」

…その潤んだ美しい黒い瞳には、微かに憂愁の色が浮かんでいた。

凪子はある決意を胸に、紫織に切り出した。

「…紫織様。
ご一緒に温室に行っていただけませんか?」

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