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それが運命の恋ならば
第9章 その薔薇の名前は 〜ローズガーデンの恋人たち〜
「…では、なぜ…?」
ずっと千晴を避けるような、はぐらかすようなことをしたのか…?
紫織は寂しげに微笑った。
「なぜ…?
…凪子様…。
それは私がお聞きしたいわ…。
なぜ、恋を貫けますか?
なぜ、想いを打ち明けられますか?
私は24歳で、千晴様は14歳…まだほんの少年でいらした…。
おまけに、千晴様はいずれはこの高遠一族を統べる当主になられる大切なお方…。
私などに関わってはならないのです。
私は、千晴様の美しい人生を壊してしまう訳にはいかなかったのです。
…夫とは…もうとっくに愛は冷めていました…。
誰にも公表していませんでしたが、ここ何年も別居をしております。
当然ですわね。
元々失恋から、投げやりになって決めた結婚でしたから…。
私は本当に冷たい酷い妻です…。
…結婚生活の間も、数限りなく浮名を流し続けました。
夫はどれだけ周囲から同情され、好奇の目に晒されたことでしょう…。
…けれど、夫を傷つけても尚…私は戯れの恋をやめることはありませんでした…」
…なぜなら…
紫織は美しい憂いの横貌を、再びガブリエルに向けた。
「…千晴様への想いを忘れるには、その方法しかなかったのです…」
ずっと千晴を避けるような、はぐらかすようなことをしたのか…?
紫織は寂しげに微笑った。
「なぜ…?
…凪子様…。
それは私がお聞きしたいわ…。
なぜ、恋を貫けますか?
なぜ、想いを打ち明けられますか?
私は24歳で、千晴様は14歳…まだほんの少年でいらした…。
おまけに、千晴様はいずれはこの高遠一族を統べる当主になられる大切なお方…。
私などに関わってはならないのです。
私は、千晴様の美しい人生を壊してしまう訳にはいかなかったのです。
…夫とは…もうとっくに愛は冷めていました…。
誰にも公表していませんでしたが、ここ何年も別居をしております。
当然ですわね。
元々失恋から、投げやりになって決めた結婚でしたから…。
私は本当に冷たい酷い妻です…。
…結婚生活の間も、数限りなく浮名を流し続けました。
夫はどれだけ周囲から同情され、好奇の目に晒されたことでしょう…。
…けれど、夫を傷つけても尚…私は戯れの恋をやめることはありませんでした…」
…なぜなら…
紫織は美しい憂いの横貌を、再びガブリエルに向けた。
「…千晴様への想いを忘れるには、その方法しかなかったのです…」