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それが運命の恋ならば
第9章 その薔薇の名前は 〜ローズガーデンの恋人たち〜
「…けれど、もう遅いのです…」
「紫織様…」
紫織が哀しげに俯いた。
「…私はもう四十を過ぎてしまいました…。
人生をやり直すには遅すぎるわ…」
…それに…。
傷つき易い頼り無げな少女のような表情を見せた。
「…千晴様は、もう私を想ってはいらっしゃらないでしょう…。
凪子様のように、若くてお美しいお方がお側にいらっしゃるのですし…」
凪子はきっぱりと首を振る。
「いいえ。紫織様。
千晴様は紫織様を愛していらっしゃいます。
けれど紫織様のお心が分からなくて、躊躇していらっしゃるのです。
私とのことは、千晴様の本意ではありません。
千晴様もまた、私に逃げ道を見出されたのでしょう。
本当は紫織様を愛していらっしゃるのに。
…それに…。
私はようやく愛する方の元へ戻ることができました」
「先程の方ね…」
紫織が優しく微笑む。
凪子ははにかみながら頷く。
「…ですから今度は千晴様の番です。
そのためには紫織様。
紫織様のお覚悟が必要なのです」
紫織ははっとしたように美しい瞳を見張り、泣き笑いの表情を浮かべた。
「…私…私は…」
…千晴様を愛しています…。
さやかな声が凛として、空気を震わせたのだった。
「紫織様…」
紫織が哀しげに俯いた。
「…私はもう四十を過ぎてしまいました…。
人生をやり直すには遅すぎるわ…」
…それに…。
傷つき易い頼り無げな少女のような表情を見せた。
「…千晴様は、もう私を想ってはいらっしゃらないでしょう…。
凪子様のように、若くてお美しいお方がお側にいらっしゃるのですし…」
凪子はきっぱりと首を振る。
「いいえ。紫織様。
千晴様は紫織様を愛していらっしゃいます。
けれど紫織様のお心が分からなくて、躊躇していらっしゃるのです。
私とのことは、千晴様の本意ではありません。
千晴様もまた、私に逃げ道を見出されたのでしょう。
本当は紫織様を愛していらっしゃるのに。
…それに…。
私はようやく愛する方の元へ戻ることができました」
「先程の方ね…」
紫織が優しく微笑む。
凪子ははにかみながら頷く。
「…ですから今度は千晴様の番です。
そのためには紫織様。
紫織様のお覚悟が必要なのです」
紫織ははっとしたように美しい瞳を見張り、泣き笑いの表情を浮かべた。
「…私…私は…」
…千晴様を愛しています…。
さやかな声が凛として、空気を震わせたのだった。