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それが運命の恋ならば
第9章 その薔薇の名前は 〜ローズガーデンの恋人たち〜
「あの…!千晴様…!
お話ししなくてはならないことはたくさんあるのですが、まずは温室にいらしてください…!」
いつになく張り詰めた表情、早口でそう言われ、千晴は凪子に着いて温室に向かった。

凪子の切羽詰まった様子が優美な美貌に似ず、なんとも可愛らしい。
それで、のんびりと尋ねてみる。
「どうしたの?凪子さん。
一之瀬さんとの話し合いは上手くいったの?
…て、聞くだけ野暮だよね。
窓からキスしていたのが見えたよ」

凪子が脚を止める。
ほっそりとした白い頸が桜色に染まってゆく。

「ごめんごめん。
覗くつもりじゃなかったんだけど、たまたま見えてしまってね…」
…でも…良かったね…。

嫌味ではなく、本心から告げた。
…なんとなく、こうなるような予感はあったのだ。
この美しいひとを、李人がそう易々と諦められはしないだろうと。
凪子もまた、自ら愛したひとを諦めることはないだろうと。
淑やかに見えて、芯の強いひとだと気づいていたからだ。
…少し寂しいが、これで良かったのだと安堵する自分がいる。

「…千晴様…」
申し訳なさそうに凪子が長い睫毛を上げ、見上げる。
安心させるように、千晴は笑ってみせた。
「何も言わなくていいよ。
…最初から、分かっていた。
君には運命のひとがいて…僕にも運命のひとがいると…」

苦笑しながら、付け加える。

「…僕の場合は、実らぬ恋だけれどね」

凪子が大きな瞳を見開き、驚くような強い力で千晴の手首を握りしめ、歩き出した。

「ちょっ…凪子さん⁈」
「とにかく、いらしてください…!」
猛然と歩き続ける凪子に、千晴は引き摺られるように着いて行った。



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