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それが運命の恋ならば
第9章 その薔薇の名前は 〜ローズガーデンの恋人たち〜
温室のドアが開かれ、千晴は凪子に押し込められるように中に転がり込んだ。
すぐさまドアが閉められる。

「ちょっと、凪子さん⁈」
慌ててドアを叩く。
ドアはなぜか開かない。
鍵が閉められたらしい。

ドアの外から声が飛んだ。
「千晴様。
千晴様ももう一度、大切な方と向き合ってください。
千晴様にとって誰よりも何よりも大切な方…。
…その方の声を良く聴いて…!」

「…え?」

…何を言っているんだ…。
凪子さん、いきなり豹変しているじゃないか。

訳が分からず、千晴は乱れた髪をかきあげながら、温室の中を見渡す。

「…!」

…温室の奥、蒼ざめた白い光を放つガブリエルの薔薇…。
何よりも大切な薔薇…。
その陰に、そのひとはいた…。

菫色のドレス…。
美しいシルエット…。

遠目でも分かる。
見間違うはずもない。

「…紫織さん…!」

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