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それが運命の恋ならば
第10章 その薔薇の名前は 〜night rosegarden〜
…千晴は最初から性急に、紫織を求めた。
それは驚くほどの貪欲さだった。
紫織を寝台に押し倒すと、キャミソールを荒々しく剥ぎ取ったのち、小さな絹の下着を強引に奪った。

「…ああ…っ…!」
羞恥のあまり、背中を向けようとする紫織の華奢な両腕を、掲げさせる。

「…逃げられないよ…もう…」
美しい琥珀色の瞳が、欲情の炎を滾らせていた。

千晴がこんな風に、なりふり構わず野蛮に豹変するとは思っても見なかった。
千晴はどんなときも、優雅で美しい絵画のようにやや物憂げに存在していたからだ。
凡そ欲望とは無縁な高潔な雰囲気を漂わせて…。

それが、今は…。
「…い…や…あ…」
生まれたままの姿で、まるで獰猛かつしなやかな肉食獣に侵されるかのように、紫織は口唇を貪られる。
男の熱く肉厚な舌が、紫織の口内を執拗に這い回る。
「…ああ…ん…っ…」

重なる男の引き締まった身体から、凶器のように硬く昂る欲望の牡が押しつけられる。

「…あっ…!」
そのあからさまな欲望の象に、熱さに、紫織は処女のように怯え、息を呑んだ。

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