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それが運命の恋ならば
第10章 その薔薇の名前は 〜night rosegarden〜
「…貴女が欲しくて…こうなってる…」
スラックス越し、男がゆっくりと卑猥な動きを繰り返す。
「…っ…!」
全身がかっと熱く火照り、桜色に染まるのが分かる。
「…ずっと、貴女が欲しかった…。
…14歳のときから…ずっとだ…」
熱く囁かれ、耳朶を噛まれる。
「…うそ…」
長い睫毛の陰から睨む。
「…貴方はいつもたくさんの可愛らしいお嬢様に囲まれていらしたわ」
…そう。
美しく気高く聡明な御曹司の彼の周りには、常に華やかな花のような若い令嬢が集まり、牽制し合っていた。
その中に、恋の噂があった美しい令嬢も幾人かいた。
それは、紫織には眩しく、切ない風景だったのだ。

「…そう。
束の間の恋は楽しんだよ。いくつもね。
けれど、本当に欲しかったのは貴女だけだ」
歌うように囁くこの美しい男を、愛おしいとも憎いとも思う。
…自分より十も歳下の美貌の男…。
その男と、これからセックスしようとしている自分を空恐ろしくなる。
倫理観からではない。
夫とは事実上離婚しているも同然だった。
夫には最近世話をしてくれる女性がいることも知っている。
紫織は安堵していた。
彼女が夫に安らぎと…できることなら子どもも与えてくれたら良いと願っている。
…自分が与えてあげられなかったものの、何もかもを…。

…だから、倫理観ではなく単純に、自分より遥かに歳上の女のすべてを知った時に、この美しく完璧な男が失望しないかと、そんな安っぽく浅はかな危惧をしているのだ。

恋は愚かだ。
こんなに心弱く、情けない心配をしてしまう。
これから、何度もこんな思いに襲われるのだろう。

…けれど…。

紫織は決心したように、千晴を見上げる。

「…そうね…。
お互いに、随分回り道したわね…。
意地を張ったり、自分の気持ちを誤魔化そうとしたり…」

…でも…

素直な気持ちで告白しよう。
まっさらな自分と向かい合い、曝け出す覚悟ができたから。

紫織は微笑み、優しく囁く。

「…愛しているわ…。
もう迷わない…」






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