この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
「…お父様…」
涙ぐむ愛娘の美しい瞳に、思わず吸い寄せられる。
泰彦はふっと穏やかに凪子を見下ろし、微笑った。
「けれどそうしたら、李人くんは生まれてはこなかったがね」
「…まあ…」
凪子は大きな瞳を見張る。
「それは困るだろう?」
悪戯めいた口調で尋ねると、凪子はその透き通るように白くほっそりとした首筋を桜色に染め、眼を伏せた。
そうして、直ぐに小さく頷いた。
「…困りますわ…」
その声に、その表情に、凪子が漸く辿り着いた真実の愛の影がはっきりと見えたのだ。
…泰彦は、昨日不意に現れた李人のことを思い出す。
涙ぐむ愛娘の美しい瞳に、思わず吸い寄せられる。
泰彦はふっと穏やかに凪子を見下ろし、微笑った。
「けれどそうしたら、李人くんは生まれてはこなかったがね」
「…まあ…」
凪子は大きな瞳を見張る。
「それは困るだろう?」
悪戯めいた口調で尋ねると、凪子はその透き通るように白くほっそりとした首筋を桜色に染め、眼を伏せた。
そうして、直ぐに小さく頷いた。
「…困りますわ…」
その声に、その表情に、凪子が漸く辿り着いた真実の愛の影がはっきりと見えたのだ。
…泰彦は、昨日不意に現れた李人のことを思い出す。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


