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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
愛娘の澄んだ美しい瞳を見つめながら、泰彦は告げる。
「…幸せにおなり…。
もしかしたら、凪子と李人くんが結ばれることを一番喜んでいるのは、雪乃かもしれない…」

「お父様…」
…でも…
と、感激に潤んだ…しかし、気遣わしげな優しい眼差しを受け止めて、首を振る。

「高遠家の後継者のことを気にしているのかね?
…大丈夫。
自然の流れに任せるさ。
一族の中で相応しい子どもを育て、養子に迎えても良い。
…もし、血筋が途絶えたら…それはそういう運命なのだよ」

「…お父様…」

泰彦は凪子に心からの笑顔を向ける。
「私はもう不自然なことはしないと決めたのだ。
何ごとも、すべてはあるがまま…。
それを抗わずに受け止めようと思う。
…だから、お前は自分の幸せだけを考えなさい」

「お父様…!
ありがとうございます!」
啜り哭く凪子の華奢な身体を抱きしめながら、艶やかな黒髪を愛おしげに撫でる。

…この美しく、心優しい娘の幸せを心から祈りながら…。


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