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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
「凪子ちゃん!お帰り!
本当に帰ってきてくれたんだね!」

凪子が車から降りるなり、玄関の車寄せに待ち構えていた桃馬は歓声を上げながら抱きついてきた。

「もう、帰ってきてくれないかと思ったよお!
本当に…本当に良かった…!」

整った貌をくしゃくしゃにしながら泣き笑いする桃馬の涙を凪子はハンカチで拭ってやる。

「…桃馬さん。ありがとうございます…」

…こんなに喜んでくれるなんて…。
桃馬の優しさがじんわりと胸に染み入る。
桃馬は本当の弟のように可愛い存在だ。
それを改めて感じる。

「凪子ちゃん…。
もうどこにも行かないでよね。
約束だよ?」
ぎゅっと抱きしめながら、桃馬が子どものように念を押す。

「はい…。
もう何処にも行きません」
「凪子ちゃん!
良かった…!」
桃馬の熱い抱擁と眼差しは、もはや恋人のそれだ。

その光景を冷ややかに見ながら、やや苛立ったように傍らの李人が告げる。

「桃馬。いいかげんに離れろ。
凪子は私の妻だ。
お前のではない」

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