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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
桃馬がむっとしたように李人を睨みつける。
「なんだよ、偉そうにさ。
…大体元はと言えば兄貴が悪いんじゃんか。
つまんない意地ばっか張ってさ。
いきなり凪子ちゃんを追い出すようなことするからさあ!」
「あの、桃馬さん。
私のことでしたら、大丈夫ですから…」
慌てて言いかける凪子の肩を、力強い腕が引き寄せた。
「そう。もう大丈夫なんだ。私たちは。
私たちは愛し合っている。
私は凪子を二度と離さない。
決して…。
愛しているからね…。
誰よりも…凪子だけを…」
居並ぶ年若なメイドが黄色い歓声を上げる。
トキがその者たちをじろりと睨み、無言で窘める。
「…旦那様」
やんわりと諌めるトキに李人は明るく笑いかけ、凪子の手を握りしめた。
「トキ。今夜はお祝いをしよう。
奥様が戻られためでたい日だ。
料理は凪子の好きなものを用意してくれ。
…桃馬。ケンを招待しよう。
彼には色々心配をかけたからな」
桃馬の眼が輝いた。
「やった!
じゃあ、俺今からケンちゃんのとこに行ってくる!」
無邪気に喜びながら、桃馬はもう駆け出している。
「…凪子…」
しなやかな手に引き寄せられ、手の甲に恭しくキスを落とされる。
「着替えておいで…。
君の部屋にドレスを用意しておいた…。
純白のドレスだ。
…今日は二人の新しい門出だからね…」
「…李人様…」
優しく顎が引き寄せられ、口唇が重なる前に、トキが厳めしい咳払いをした。
「旦那様。
若いメイドたちの教育によろしくありませんわ」
二人は瞳を見つめ合い、くすくすと笑い出した。
「なんだよ、偉そうにさ。
…大体元はと言えば兄貴が悪いんじゃんか。
つまんない意地ばっか張ってさ。
いきなり凪子ちゃんを追い出すようなことするからさあ!」
「あの、桃馬さん。
私のことでしたら、大丈夫ですから…」
慌てて言いかける凪子の肩を、力強い腕が引き寄せた。
「そう。もう大丈夫なんだ。私たちは。
私たちは愛し合っている。
私は凪子を二度と離さない。
決して…。
愛しているからね…。
誰よりも…凪子だけを…」
居並ぶ年若なメイドが黄色い歓声を上げる。
トキがその者たちをじろりと睨み、無言で窘める。
「…旦那様」
やんわりと諌めるトキに李人は明るく笑いかけ、凪子の手を握りしめた。
「トキ。今夜はお祝いをしよう。
奥様が戻られためでたい日だ。
料理は凪子の好きなものを用意してくれ。
…桃馬。ケンを招待しよう。
彼には色々心配をかけたからな」
桃馬の眼が輝いた。
「やった!
じゃあ、俺今からケンちゃんのとこに行ってくる!」
無邪気に喜びながら、桃馬はもう駆け出している。
「…凪子…」
しなやかな手に引き寄せられ、手の甲に恭しくキスを落とされる。
「着替えておいで…。
君の部屋にドレスを用意しておいた…。
純白のドレスだ。
…今日は二人の新しい門出だからね…」
「…李人様…」
優しく顎が引き寄せられ、口唇が重なる前に、トキが厳めしい咳払いをした。
「旦那様。
若いメイドたちの教育によろしくありませんわ」
二人は瞳を見つめ合い、くすくすと笑い出した。