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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
…灯りが燈る母家からは、賑やかな歓声や笑い声が風に乗って聞こえてくる。

凪子はそっと微笑んだ。

宴会は最初から賑やかに始まった。
ケンは大感激したように李人に抱きつき、泣き出した。
「リーくん!良かったわあ〜!本当に!
凪子ちゃんが戻って、本当に良かったわねえ!」
ケンはレースのハンカチで涙を拭いながらしみじみと呟いた。

「…凪子ちゃんが居なくなってからのリーくん…。
本当に覇気がなくて辛そうで、見ていられなかったもの。
あたし、リーくんのこと今も大大大好きだけど、悲しそうなリーくんなんて絶対イヤ!
りーくんにはいつも幸せでいてもらわなきゃ!
それがあたしの幸せ!」

李人はその言葉を聞き終えると、優しい眼差しでケンを抱きしめた。

「ありがとう、ケン。
君はいつも僕のことを思ってくれるんだね…。
僕も君が大好きだよ…」

ケンは甲高い声を上げながら李人を抱擁し返した。

「ぎゃああ〜!あ、あ、あたし!このまま死んでもいいわあ〜!
凪子ちゃん!ごめん!今だけリーくんを借りるわね!」

凪子は桃馬と貌を見合わせて微笑んだ。


…幸せそうなケンに暫く李人と語り合って欲しくて、凪子はそっと広間を抜け出した。

ワインの酔いを覚ますために、夜風にも当たりたかったのだ。

…月見台の椅子に腰掛け、夜の海を眺める。
静かな波音…温かな汐風…。

故郷に帰ってきたような安堵感に優しく包まれる。

…帰ってきて、良かったわ…。
李人様とまた一緒に暮らせる。
…桃馬さんとも…。

…それから…

夜の海を背景に、ある男の面影が夢のように浮かび上がる。
凪子の胸が唐突に甘く疼いた。

…その時…。

背後から庭木の葉擦れの音が、微かに聞こえた。

振り返るその先に佇むのは…。

「…禅さん…」

…今しがた、胸に浮かんだ雄々しくも美しい男の姿であった…。

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