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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
白い褥に押し倒され、男の引き締まった身体の重みを、一身に受ける。
…懐かしい、熱く硬質な躰だ。
李人の手はいつもひんやりしているのに、その躰は夜の営みの際には炎のように熱かった。

「…ああ…ん…っ…はあ…ん…」
…濃密で激しい口づけは、途切れることがない。
息継ぎに口唇を離しても、また奪われ、執拗に舌を絡められる。

「…凪子…愛している…」
まるで性交のように淫らな口づけの合間に囁かれるのは、甘い愛の言葉だ。

「…りひ…と…さま…」
甘く痺れるような糖度の高い口づけに、凪子の身体から熱い花蜜が流れ始める…。

「…ああ…」
堪らずに、自ら李人の肉厚な舌を吸い、口づけを仕掛ける。
慎み深い清楚な白い花のような凪子からは、想像できない淫らな行為だ。

「…凪子…」
奪い合い、お互いのすべてを食むような、激しくも淫靡な口づけ。

「…んん…っ…はあ…ん…」

…しんと静まり返った寝所に、淫蕩で濃厚な水音が響き渡る。

「…ああ…も…う…」

凪子の漆黒の闇色の瞳がしっとりと潤み、長い睫毛の下から李人を見上げる。

…私を…奪って…。

妻の声ならぬ声を、李人はたしかに聴いたのだ。





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