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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
己れの痴態を思い返すだけで、貌が赤らむ。
…恥ずかし…い…。
凪子は両手で貌を覆う。

…そのとき…

「…お寝坊さん。
やっとお目覚めかな?」
可笑しみを含んだ爽やかな声が、縁側の先から響いた。

「…李人様…!」

…開け放たれた障子の向こう、夏の陽光が濃く輝く庭に、李人が微笑みながら佇んでいた。

…李人はオフホワイトのざっくりした麻のシャツにオリーブグリーンのチノパンツ、黒い革のサンダルというくだけた服装だ。

「…す、すみません…!
私…すっかり寝入ってしまっていて…」

慌てて寝具を畳みだす凪子に近づくと
「いいんですよ。
…貴女のお寝坊は、私のせいだ…」
李人は艶めいた美しい眼差しで凪子を見下ろし、優雅に縁側に腰掛けるとにっこりと笑った。








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