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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
それから1時間後、凪子は李人の休日用の愛車・シトロエンの助手席に座っていた。
トランクにはトキが支度をしてくれた荷物のキャリーが収められている。
だから凪子は身一つで車に乗り込まされた。
やや困惑したように凪子は白い両手を握りしめる。
…レースに縁取られた白いノースリーブのロングワンピースはまるで花嫁衣装だ。
つば広の白い帽子には真珠色のシフォンのリボンがふんわりと結ばれている。
『…新婚旅行…のようなものでございますからね。おふたりの』
トキが嬉しそうに凪子の髪を巻いてくれながら、囁いた。
車寄せに見送りに出ながら、桃馬はぶつぶつ文句を言った。
「…なんだよなあ。
せっかく凪子ちゃんが帰ってきたのにさ、二人で旅行なんてズルいよなあ」
「凪子は私の妻だからな。
大人しく待っていろ。
お前、予備校をサボるなよ。
留年がかかっているんだろう?」
桃馬が子どものように口を尖らせた。
「ちぇ…!うっせえなあ!
…で?どこにいくんだよ?」
慣れた仕草でエンジンを掛けながら、李人は微笑んだ。
「…内房総の小さな海の街だ。
お母様の実家の古い別荘がある」
トランクにはトキが支度をしてくれた荷物のキャリーが収められている。
だから凪子は身一つで車に乗り込まされた。
やや困惑したように凪子は白い両手を握りしめる。
…レースに縁取られた白いノースリーブのロングワンピースはまるで花嫁衣装だ。
つば広の白い帽子には真珠色のシフォンのリボンがふんわりと結ばれている。
『…新婚旅行…のようなものでございますからね。おふたりの』
トキが嬉しそうに凪子の髪を巻いてくれながら、囁いた。
車寄せに見送りに出ながら、桃馬はぶつぶつ文句を言った。
「…なんだよなあ。
せっかく凪子ちゃんが帰ってきたのにさ、二人で旅行なんてズルいよなあ」
「凪子は私の妻だからな。
大人しく待っていろ。
お前、予備校をサボるなよ。
留年がかかっているんだろう?」
桃馬が子どものように口を尖らせた。
「ちぇ…!うっせえなあ!
…で?どこにいくんだよ?」
慣れた仕草でエンジンを掛けながら、李人は微笑んだ。
「…内房総の小さな海の街だ。
お母様の実家の古い別荘がある」