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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
漆喰の趣味の良いドアを押し開けると、カウベルが可愛らしい音を立てた。

「いらっしゃいませ…。
…あら?
…もしかして…李人くん…?」
カウンターの中に佇む店の女主人らしい女性が、李人を見るなり遠慮勝ちに声をかけてきた。

…歳の頃は三十代前半くらい…。
李人と同じくらいだろうか。
思わず眼を奪われてしまいそうなほどに、しっとりと薫り立つような大人の色香と…凛とした不思議な透明感を纏う大層美しいひとだった。
凪子は思わず彼女に見惚れた。

「お久しぶりです。
…澄佳さん…」

李人は女性の前に立つと、嬉しそうに笑って挨拶をした。

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