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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
「お父ちゃま!瑠璃子おばちゃま!涼ちゃん!やっときた。みんなおそ〜い!類が一等賞だね!」
類が三人の元にぱたぱたと駆け出す。
「あ、ちょっと、類!誰がおばさんだって?
瑠璃子ちゃんでしょ?
る・り・こ・ちゃん!
なんでママが由貴子さんで、涼ちゃんは涼ちゃんでさ。私だけがおばちゃまなのよ」
パウダーピンクのマタニティドレスを着た瑠璃子と呼ばれた人形のように可愛らしい若い娘は膨れっ面をしてみせた。
「おばちゃま!おばちゃま!瑠璃子おばちゃま!」
類がふざけて叫ぶ。
「こら、類。お客様がいらしているだろう?
お店では静かにしなさい」
そう言いながら、しなやかに類を抱き上げたのは、すらりと長身な端正な貌立ちをした男性だ。
…仕立ての良い麻のジャケット、生成りのサマーニット、チノパンツといったカジュアルな服装だがそこはかとなく品位が漂う姿…。
目を惹く美男子だが、知的さと優しさがまず伝わってくる…さながら英国紳士のように洗練された優雅な男性だった。
男性は類を抱き上げたまま、李人と凪子に向かってにこやかに詫びた。
「申し訳ありません。子どもが騒がしくいたしまして…」
そして、澄佳に向かって笑いかけた。
それは、如何にも愛情に溢れた優しい笑顔だった。
「ごめんね、澄佳。すぐ家の方に行くね」
澄佳が男性に歩み寄り、この上なく幸せそうに微笑んだ。
「柊司さん。ご紹介するわ。
こちらは私の古いお友だちの一之瀬李人さんと奥様の凪子さんなの」
類が三人の元にぱたぱたと駆け出す。
「あ、ちょっと、類!誰がおばさんだって?
瑠璃子ちゃんでしょ?
る・り・こ・ちゃん!
なんでママが由貴子さんで、涼ちゃんは涼ちゃんでさ。私だけがおばちゃまなのよ」
パウダーピンクのマタニティドレスを着た瑠璃子と呼ばれた人形のように可愛らしい若い娘は膨れっ面をしてみせた。
「おばちゃま!おばちゃま!瑠璃子おばちゃま!」
類がふざけて叫ぶ。
「こら、類。お客様がいらしているだろう?
お店では静かにしなさい」
そう言いながら、しなやかに類を抱き上げたのは、すらりと長身な端正な貌立ちをした男性だ。
…仕立ての良い麻のジャケット、生成りのサマーニット、チノパンツといったカジュアルな服装だがそこはかとなく品位が漂う姿…。
目を惹く美男子だが、知的さと優しさがまず伝わってくる…さながら英国紳士のように洗練された優雅な男性だった。
男性は類を抱き上げたまま、李人と凪子に向かってにこやかに詫びた。
「申し訳ありません。子どもが騒がしくいたしまして…」
そして、澄佳に向かって笑いかけた。
それは、如何にも愛情に溢れた優しい笑顔だった。
「ごめんね、澄佳。すぐ家の方に行くね」
澄佳が男性に歩み寄り、この上なく幸せそうに微笑んだ。
「柊司さん。ご紹介するわ。
こちらは私の古いお友だちの一之瀬李人さんと奥様の凪子さんなの」