この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
「…私ね、高校生の時、色々あって鬱々としていたの。
入院したり家に引きこもっていたり…。
そんな時に澄佳さんに海浜留学してみない?て勧められてこの街に来たの。
それでお引越ししたその日に、港で涼ちゃんが船に乗っているところを見て…あ!この人が私の王子様だ!て一目惚れしちゃったの」
長い睫毛を瞬かせ、傍らの夫を見上げる瑠璃子は、まるで恋する乙女だ。
涼太はブロンズ色の男らしい横顔を顰めながらビールを呷る。
「いらん自己紹介すんな」
「でもさ、涼ちゃんは全然振り向いてくれなくて、大変だったんだから。
涼ちゃんは澄佳さんが初恋だったらしいしさ。
私のことは圏外扱いしてくれちゃってさ。
ようやく恋人っぽくなったかな〜て思ったら、私を東京の大学に無理やり行かせてさ。学生寮にも入れられてさ。
そんで、なかなか会えないし、やっと会えても全然えっちもしてくれなくなっちゃってさ!」
慌てて涼太が大きな手で瑠璃子の口を塞ぐ。
「馬鹿!兄貴が聴いてるだろうがよ!」
柊司が苦笑しながら瑠璃子を窘める。
「瑠璃子。一之瀬さんの前で、はしたないぞ。
お前、ジュースで酔っているのか?」
「酔ってないもん。
…涼ちゃんはなんだか知らないけど、私と距離を置こうとしだしたからさ。
私、頭来て大学中退して涼ちゃんとこに押しかけ女房したの。
籍入れてくれるまで帰らない!ご飯も食べない!て…。
で、涼ちゃんのお父さんとお母さんも味方に着けてようやくお嫁様になれたって訳。
ね!ハランバンジョーでしょ?」
きらきらと瞳を輝かす瑠璃子の頬を、涼太は軽く抓る。
「何がハランバンジョーだ。
…俺はなあ、お前の将来の可能性を狭めたくなかったんだよ。
色んな勉強して、色んな体験をして、広い世界を見て…その上で俺を選んで欲しかったんだよ」
最後は照れ臭そうに小さく囁いた。
微笑まし気に二人の会話を聴いていた李人が口を開いた。
「…涼太くんは昔とちっとも変わらないね。
優しくて漢気がある…。
瑠璃子さんは幸せだね」
…そうして、凪子を愛の眼差しで見つめた。
「…僕も見習わなきゃ…。
愛するひとを本当に幸せにできるように…」
「…李人様…」
瑠璃子が黄色い歓声を上げた。
「きゃ〜!李人さん、イケメン!
涼ちゃんもたまにはこんな風にキザってくれたらいいのになあ」
「こら、キザ言うな」
皆は一斉に吹き出した。
入院したり家に引きこもっていたり…。
そんな時に澄佳さんに海浜留学してみない?て勧められてこの街に来たの。
それでお引越ししたその日に、港で涼ちゃんが船に乗っているところを見て…あ!この人が私の王子様だ!て一目惚れしちゃったの」
長い睫毛を瞬かせ、傍らの夫を見上げる瑠璃子は、まるで恋する乙女だ。
涼太はブロンズ色の男らしい横顔を顰めながらビールを呷る。
「いらん自己紹介すんな」
「でもさ、涼ちゃんは全然振り向いてくれなくて、大変だったんだから。
涼ちゃんは澄佳さんが初恋だったらしいしさ。
私のことは圏外扱いしてくれちゃってさ。
ようやく恋人っぽくなったかな〜て思ったら、私を東京の大学に無理やり行かせてさ。学生寮にも入れられてさ。
そんで、なかなか会えないし、やっと会えても全然えっちもしてくれなくなっちゃってさ!」
慌てて涼太が大きな手で瑠璃子の口を塞ぐ。
「馬鹿!兄貴が聴いてるだろうがよ!」
柊司が苦笑しながら瑠璃子を窘める。
「瑠璃子。一之瀬さんの前で、はしたないぞ。
お前、ジュースで酔っているのか?」
「酔ってないもん。
…涼ちゃんはなんだか知らないけど、私と距離を置こうとしだしたからさ。
私、頭来て大学中退して涼ちゃんとこに押しかけ女房したの。
籍入れてくれるまで帰らない!ご飯も食べない!て…。
で、涼ちゃんのお父さんとお母さんも味方に着けてようやくお嫁様になれたって訳。
ね!ハランバンジョーでしょ?」
きらきらと瞳を輝かす瑠璃子の頬を、涼太は軽く抓る。
「何がハランバンジョーだ。
…俺はなあ、お前の将来の可能性を狭めたくなかったんだよ。
色んな勉強して、色んな体験をして、広い世界を見て…その上で俺を選んで欲しかったんだよ」
最後は照れ臭そうに小さく囁いた。
微笑まし気に二人の会話を聴いていた李人が口を開いた。
「…涼太くんは昔とちっとも変わらないね。
優しくて漢気がある…。
瑠璃子さんは幸せだね」
…そうして、凪子を愛の眼差しで見つめた。
「…僕も見習わなきゃ…。
愛するひとを本当に幸せにできるように…」
「…李人様…」
瑠璃子が黄色い歓声を上げた。
「きゃ〜!李人さん、イケメン!
涼ちゃんもたまにはこんな風にキザってくれたらいいのになあ」
「こら、キザ言うな」
皆は一斉に吹き出した。