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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
「…え…?」
思わず長い睫毛を震わせる凪子に、李人はふわりと微笑んだ。
「…どうしたの?そんなに驚いて」

凪子は慌てて首を振る。
「い、いいえ…。
禅さんは…あちらのお屋敷にいらっしゃるとばかり…」

李人は優しく凪子の手を取りながら、門扉を押し開けた。
サマースノーの白い花弁がはらりと舞い落ちる。

「禅にはこの家の庭の管理も任せているからね。
旅館やホテルの庭仕事が一段落したから、来てもらった。
…凪子はまだゆっくりと禅に会ってないだろう?
あとで挨拶するといい」

「…ええ…」
胸の鼓動が速くなる。

…庭の飛び石の先に見える大きな人影…。
闇色の着物を纏った禅が、ひんやりとした夜の夢幻のように佇んでいた…。

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