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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
「…りひ…と…さま…」
怯えるように李人を見上げる。

「…凪子。
今夜は君と禅にとって初夜なのだよ。
…だから、きちんと最後まで結ばれなくてはならないのだ。
分かるね?
…さあ、脚を開いて…」
優しく親切な教師のように、丁重に説明され、促される。

「…ああ…そんな…」

…まだ李人の精を受けたばかりだ。
体内からは、夥しい量の精液が溢れ出している。
その身体で、次は禅のものを受け入れるのか…。
身体が焼けつくような、激しい羞恥心に襲われる。

…いや、そんなことより…。
本当に、禅を受け入れて良いのだろうか…。
その一線を超えたら、もう…。

「良いのだよ、凪子…。
いや、むしろ君と禅は一線を超えなくてはならないのだよ」
凪子の心の内を見透かすかのような言葉だった。

「…禅もまた君の夫になったのだ。
君は完全に禅と結ばれなくてはならない。
…凪子も本当は禅とひとつになりたいのだろう?
私に遠慮はいらない」
「…李人様…」

…禅とひとつになる…。
望んでいないと言えば嘘になる。
…禅の牡を口淫し、凪子は欲望の花蜜を淫らな娼婦のように滴らせた。
…それは…

禅との性交を思い浮かべてしまったからだ…。
…この大きくて硬い牡で…我が身が犯されたら…どうなってしまうのだろうか…。
想像するだけで、体内から熱い蜜が迸り、激しく欲情したのだ。

李人は微笑み、凪子の口唇にそっと口付けた。
…そうして、禅に艶めいた流し目を送った。
「…お前の味がする…」

禅が苦しげに、凛々しい眉を顰めた。
「…旦那様…」
李人は禅の腕を取り、凪子の華奢な腰を抱かせようと導いた。

「…さあ、禅。
凪子も望んでいるのだ。
早く、抱いて遣りなさい。
…たっぷり射精したから、お前のものはきっとすぐに馴染む…」
愉しげに笑う李人に、禅が決意したかのように小さく告げた。

「…それでは避妊具を取ってまいります」
凪子は密かにほっとした。
禅の子どもを妊娠すること…。
…それが何より気掛かりだったからだ。

…しかし次の瞬間、驚くべき言葉が李人の端正な唇からさらりと漏れたのだ。

「そんなものは要らないよ。
禅。お前はそのまま凪子を抱くのだ。
何も付けずに凪子とひとつになるのだよ」

…そして…

「…私たちの奥様を抱いて、たくさん射精してあげなさい」
…あまりにも信じ難い命を下したのだ。



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