この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
それが運命の恋ならば
第2章 初夜
「…凌辱…?」
耳を疑った。
尼寺で育った凪子には余りに刺激が強すぎる言葉と内容だった。
強張る凪子の頰を撫で回す李人の手は、飽くまで優しい。

「…ええ。
母は一之瀬家に嫁ぎ、家業の旅館の若女将として活躍していました。
息子の私が言うのも何ですが…とても美しいひとでした。
高遠氏はうちの旅館を常宿とする顧客でした。
…あの高遠家のご当主様です。接遇は常に大変なものでした。
若女将の母は特に丁重に接待をしていたようです。
やがて母に目を付けた彼は、母を深夜部屋に呼び出しました。
そうして密かに酔わせ、無理矢理身体を奪ったのです。
…彼が卑怯なのは一度に終わらずに、そのことを盾に何度も母に迫り、関係を結ばせた。
…その現場を…私の父が見てしまったのです」

…あまりに衝撃的で痛ましい話に息苦しさを覚え、凪子は眼を伏せようとした。
それを許さず、男は凪子の貌を強引に自分の方に向けさせる。

「…そうして、私が生まれた」

…まさか…
と、凪子は愕然としながら、李人を見上げた。

ふっと、乾いた笑みを李人は浮かべた。

「…いいえ、私は正真正銘父の子どもですよ。
それはDNA検査でも証明された。
…けれど、私はひとつも両親に似ていなくてね。
最悪なことに、父は母が高遠氏に手籠めにされたことを信じなかった。
母と高遠氏が内通し、それが露見したので母が偽りの告白をしたと、疑ったのです。
…というのも、それまで高遠氏が母を気に入り、折々に親しく話をしている場面を目撃していて…密かに嫉妬し、あり得ない疑念を抱いていたのです」

「…そんな…!」
酷すぎると凪子は思った。
夫に、貞操を疑われるなど、何より辛いことではないか。
ましてや、相手に凌辱されたというのに…。

李人の氷の仮面のような美貌は無表情のままだ。

「…父は母に妄執していました…。
美しい妻が、心配でならなかった。
しかも父は身体が弱く、子どもを作りにくい身体だった…。
そのため、母を疑ったのです。
歪んだ愛と執着と憎しみ…。
それらをすべて母にぶつけた。
愚かな父親です。
…けれど、その原因を作ったのは…」

冴え冴えとした怜悧な眼差しが、冷ややかに凪子を見下ろす。

「…貴女の父、高遠泰彦だ」




/349ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ