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それが運命の恋ならば
第12章 それが運命の恋ならば
「…雰囲気…てこと?」
桃馬は頷いた。
「…なんかさ、もう三人だけの誰も入れないような秘密な雰囲気とか…。
とにかく、あの日…。兄さんと小旅行に行った日からガラリと変わっちまったんだよな。
…凪子ちゃんも…」
…嘘だ。
本当は、一度だけ、彼らの寝室を覗いてしまったことがあるのだ。
…あれは彼らが帰宅して、暫くした秋の夜半のことだった。
夜遊びして深夜に帰宅した桃馬は、表玄関を避け裏木戸から庭を横切りながら部屋に戻ろうとしていた。
家政婦のトキに見つかると、煩いからだ。
庭の飛び石を音がしないように踏みしめ、渡っていると…。
…兄夫婦の寝室から、啜り哭くような声が漏れてきたのだ。
…凪子ちゃん?
桃馬は反射的に、声のする方に近づいた。
体調でも悪いのかな?
それとも、意地悪な親戚にでも嫌味を言われたのかな?
…縁側からそっと中に入り、寝室の障子の前まで歩み寄る。
声を掛けようとして、桃馬は息を呑んだ。
…白い障子には、まるで影絵のように美しい凪子の裸体が写し出されていたのだ。
…そして…
「…ああ…もう…やめ…て…え…」
障子越し…凪子の掠れた…けれどどこか甘い声が訴える。
「…本当にやめてもいいのかな?凪子…。
君の身体はこんなにも熱く潤っているのに…」
…絹のように滑らかな美声は、兄の李人のものだ。
どこか笑みを含んでいる。
「…や…ああ…も…う…むり…です…あなた…」
…夫婦の営みの最中だったのだ。
桃馬はかっと全身を熱く激らせ、踵を返そうとした。
…けれど、その時…。
「…いちどに…おふたりは…むり…。
…かんにんして…くださ…い…」
泣きじゃくる凪子の声が、信じ難いことを告げたのだ。
桃馬はぎょっと眼を見張り、振り返った。
…二人?どういうことだ?
その疑問を解き明かすかのように、李人の声が聞こえた。
「…禅。お前は後ろから凪子を犯しなさい。
私は前から、犯すよ…。
…ああ、そんなに怖がらないで…。
だいぶ馴らしたから…今夜こそ、きっと受け入れられるよ…。
私と禅を同時に、君の淫らな名器にね…」
…とんでもない卑猥な…そしてあり得ない異常な性交を、今まさに始めようとしていたのだ。
桃馬はその場に腰を抜かさんばかりに驚いた。
「…受け入れてくれ…私と禅を…一度に…ね」
…兄の声はあくまで優しいのだ…。
桃馬は頷いた。
「…なんかさ、もう三人だけの誰も入れないような秘密な雰囲気とか…。
とにかく、あの日…。兄さんと小旅行に行った日からガラリと変わっちまったんだよな。
…凪子ちゃんも…」
…嘘だ。
本当は、一度だけ、彼らの寝室を覗いてしまったことがあるのだ。
…あれは彼らが帰宅して、暫くした秋の夜半のことだった。
夜遊びして深夜に帰宅した桃馬は、表玄関を避け裏木戸から庭を横切りながら部屋に戻ろうとしていた。
家政婦のトキに見つかると、煩いからだ。
庭の飛び石を音がしないように踏みしめ、渡っていると…。
…兄夫婦の寝室から、啜り哭くような声が漏れてきたのだ。
…凪子ちゃん?
桃馬は反射的に、声のする方に近づいた。
体調でも悪いのかな?
それとも、意地悪な親戚にでも嫌味を言われたのかな?
…縁側からそっと中に入り、寝室の障子の前まで歩み寄る。
声を掛けようとして、桃馬は息を呑んだ。
…白い障子には、まるで影絵のように美しい凪子の裸体が写し出されていたのだ。
…そして…
「…ああ…もう…やめ…て…え…」
障子越し…凪子の掠れた…けれどどこか甘い声が訴える。
「…本当にやめてもいいのかな?凪子…。
君の身体はこんなにも熱く潤っているのに…」
…絹のように滑らかな美声は、兄の李人のものだ。
どこか笑みを含んでいる。
「…や…ああ…も…う…むり…です…あなた…」
…夫婦の営みの最中だったのだ。
桃馬はかっと全身を熱く激らせ、踵を返そうとした。
…けれど、その時…。
「…いちどに…おふたりは…むり…。
…かんにんして…くださ…い…」
泣きじゃくる凪子の声が、信じ難いことを告げたのだ。
桃馬はぎょっと眼を見張り、振り返った。
…二人?どういうことだ?
その疑問を解き明かすかのように、李人の声が聞こえた。
「…禅。お前は後ろから凪子を犯しなさい。
私は前から、犯すよ…。
…ああ、そんなに怖がらないで…。
だいぶ馴らしたから…今夜こそ、きっと受け入れられるよ…。
私と禅を同時に、君の淫らな名器にね…」
…とんでもない卑猥な…そしてあり得ない異常な性交を、今まさに始めようとしていたのだ。
桃馬はその場に腰を抜かさんばかりに驚いた。
「…受け入れてくれ…私と禅を…一度に…ね」
…兄の声はあくまで優しいのだ…。