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第12章 それが運命の恋ならば

「…ああ…ん…っ…は…ああ…っ…んん…」

障子越し、三人の息遣いが荒くなる。
…わけても、凪子の声に、甘さと切なさが増してゆく。

「…気持ちいい…？凪子…」
力強く腰を遣いながら、李人が尋ねる。

「…ああ…い…いい…きも…ち…い…」
「…二人の男に犯されて…そんなに感じているの…？
…いやらしい…奥様だ…」
「…ああ…ん…いじわ…る…」
幼なげに泣く凪子の白い耳朶を李人が甘噛みする。
「ねえ、凪子…。どちらが、いい…？
僕と、禅と…。
…どちらの…が…いい…？」

凪子は美しい眦を朱に染めて、首を振る。
「…い…や…あ…そん…な…」

禅が苦笑まじりに諌める。
「…坊ちゃん…およしなさい…」
…閨では、禅は昔の呼び名になるらしい。

「…どちらが良いか、聴きたいじゃないか…。
…お前の…は、すごく魅力的だから…」
わざと禅の牡に擦り付けるように、李人が執拗に腰を遣う。

「…っ…」
禅が雄々しい眉を苦しげに寄せる。
「…禅…。
気持ち…いい…？」
李人の端麗な眼差しに、淫靡な色が濃くなる。

「…気持ち…いいですよ…坊ちゃん…」
禅が李人の乱れた前髪を優しく撫でる。

…そうして…

「…坊ちゃんも、凪子様も、よすぎてよすぎて…私はまるで天国にいるような気持ちです…」
苦み走った美貌を甘く緩ませ、そう告げると、二人を逞しい腕で抱き寄せた。

「…愛しています…。
お二人とも…」

…凪子の中の牡たちが、更に硬く熱く弾けそうに滾る。

「…ああ…っ…！
…も…おおき…く…しない…で…」
凪子が快楽に喘ぎながら、懇願する。

李人は微笑み、凪子と禅に愛しみのキスをした。

「…三人で、天国にいこう…」