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それが運命の恋ならば
第2章 初夜
「いや…っ…いや…です!
…やめて…ください…!
ご覧になるのは…李人さまだけに…お願…い…」
再び、凪子は子どものように泣きじゃくる。

冷ややかな声が鼓膜を撫でる。
「それでは高遠氏への復讐にならないのですよ。
私はね、高遠氏に復讐をしたいのです。
貴女は高遠氏の血を分けた娘だ。
その娘を辱めることが、ひいては彼への辱めになるのですから…」

その非情な言葉に、胸が張り裂けそうになる。
…李人様は私を愛してはいないのだ。
いや、寧ろ憎んでいらっしゃるのだ。
復讐するために、私をお嫁様にされたのだ。
だから、こんなにも酷いことができるのだ。
身に染みてそれが分かった。

「…あんまり…です…。
わたし…わたしは…」
寺のため、自由になるため、諦め半分で嫁いできた。
けれど、このひとの輝くような美しさや穏やかな優しさに触れ、初めての恋をした。
結婚して、漸く幸せになれると思ったのに…。
自分の居場所を得られて、心底嬉しかったのに…。

「さあ、もっと近くで見るのだ。禅。
…美しいだろう。
私の奥様のからだは…」
凪子の叫びを無視し、庭師に愉しげに語りかける。

「…はい。とてもお美しいです」
遠慮勝ちな掠れた男の声が、間近に聞こえた。

「…い…や…。見ない…で…。お願い…」
必死で首を振る。
あの屈強な野性的な庭師が、自分の裸体を見ている…。
消え入りたくなるような羞恥と…そして仄暗い恐怖に身悶える。

「…清らかで柔らかな雪のように白い肌だ…。
…美しすぎて、すべてを…穢してしまいたくなる…」
微かに忌々しそうに李人が呟く。
乳房を強く握られ、円を描くように揉みしだかれる。

「…ああっ…!」
白い頸をのけ反らせる凪子の口唇に、噛み付くように口づけを与える。
震える舌を弄られ、千切れそうに吸われる。

…口唇が解放されたのち、李人は淡々と命じた。

「…禅。
奥様の襦袢を、すべて脱がせなさい」










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