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それが運命の恋ならば
第3章 愛と哀しみの夜明け
その声に振り返り、思わず眼を見張った。
「…桃馬さん…」
李人の弟、桃馬が着崩した制服姿で、派手な赤い自転車から降りてきた。
…金色の髪が、陽の光に透けてきらきらと輝く。
その端正な貌は、李人によく似ているが、凪子に屈託なく無邪気に笑いかけていた。
「どうしたの?凪子ちゃん。お散歩?」
海に向かっていた脚を止めて、ぎこちなく笑う。
「…ええ…あの…」
俯く凪子の貌を無遠慮に覗き込み、わざと大袈裟に驚いてみせた。
「あれ?何浮かない貌してんのさ、花嫁さんが。
もう兄貴と痴話喧嘩した?」
凪子の貌が強張る。
桃馬はすぐに、何か察したかのように済まなそうに詫びた。
「…ごめん。
そっかあ…。
…まあ、大方予想は付くよ。
…兄貴が酷いことしたんだろ?
凪子ちゃんを嫁に迎えたのは、兄貴の完全なエゴだからな。
怒っていいよ。凪子ちゃん」
「…桃馬さん…」
李人の弟、桃馬が着崩した制服姿で、派手な赤い自転車から降りてきた。
…金色の髪が、陽の光に透けてきらきらと輝く。
その端正な貌は、李人によく似ているが、凪子に屈託なく無邪気に笑いかけていた。
「どうしたの?凪子ちゃん。お散歩?」
海に向かっていた脚を止めて、ぎこちなく笑う。
「…ええ…あの…」
俯く凪子の貌を無遠慮に覗き込み、わざと大袈裟に驚いてみせた。
「あれ?何浮かない貌してんのさ、花嫁さんが。
もう兄貴と痴話喧嘩した?」
凪子の貌が強張る。
桃馬はすぐに、何か察したかのように済まなそうに詫びた。
「…ごめん。
そっかあ…。
…まあ、大方予想は付くよ。
…兄貴が酷いことしたんだろ?
凪子ちゃんを嫁に迎えたのは、兄貴の完全なエゴだからな。
怒っていいよ。凪子ちゃん」