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それが運命の恋ならば
第3章 愛と哀しみの夜明け
「え?こ、これですか?」
桃馬の派手な赤い自転車の前に凪子はたじろぐ。
「これ…に乗るんですか?」
「そ。後ろに乗って。凪子ちゃん。
…あ〜、着物かあ。
じゃあ跨げないから横座りだな。
その代わり、俺にしっかり摑まんなよ」
ほらほら、とせっつかれ、慌てて後ろの座席に座る。
着物で、硬い座席はどうにも不安定だ。
このまま、走り出すのだろうか…?
「あの…掴まる…て…?」
桃馬が振り返り、首を傾げる。
「あれ?もしかして、凪子ちゃん、チャリ2ケツしたことない?」
「…自転車…初めて乗ります…」
…尼寺で、そんなことは許されていなかった。
中学の通学も徒歩だったし、自転車など無縁だったのだ。
もちろん乗ったことはない。
庵主は凪子に子どもらしいものを一切与えては来なかったからだ。
「へえ!そりゃすごいわ。
凪子ちゃんのチャリ初体験な!
おめでと!
じゃあ俺の腰に手を回して…しっかり掴まってよ」
凪子は言われるままに後ろの座席に座り直し、そろそろと桃馬の制服の腰に手を伸ばす。
…自転車が軽やかに進み始めた。
いきなりぐらりと身体が揺れて、凪子は慌てて桃馬の腰に強くしがみついた。
…温かな細身の筋肉質の背中が、微かにびくりと引き締まった。
爽やかな青年らしい柑橘系の香りは、フレグランスなのだろうか…。
…李人様とは…違う…。
「…凪子ちゃん、本当に乗ってる?
…妖精さんみたいに軽いな…」
…やや照れたような声が聞こえた。
「…は、はい…!乗ってます…!」
「じゃ、行くよ。
俺オススメの行列ができないヤベェ店に出発!」
「は、はい…!」
凪子は桃馬の腰にぎゅっと腕を絡め、進み始めた自転車に身体を預けた。
桃馬の派手な赤い自転車の前に凪子はたじろぐ。
「これ…に乗るんですか?」
「そ。後ろに乗って。凪子ちゃん。
…あ〜、着物かあ。
じゃあ跨げないから横座りだな。
その代わり、俺にしっかり摑まんなよ」
ほらほら、とせっつかれ、慌てて後ろの座席に座る。
着物で、硬い座席はどうにも不安定だ。
このまま、走り出すのだろうか…?
「あの…掴まる…て…?」
桃馬が振り返り、首を傾げる。
「あれ?もしかして、凪子ちゃん、チャリ2ケツしたことない?」
「…自転車…初めて乗ります…」
…尼寺で、そんなことは許されていなかった。
中学の通学も徒歩だったし、自転車など無縁だったのだ。
もちろん乗ったことはない。
庵主は凪子に子どもらしいものを一切与えては来なかったからだ。
「へえ!そりゃすごいわ。
凪子ちゃんのチャリ初体験な!
おめでと!
じゃあ俺の腰に手を回して…しっかり掴まってよ」
凪子は言われるままに後ろの座席に座り直し、そろそろと桃馬の制服の腰に手を伸ばす。
…自転車が軽やかに進み始めた。
いきなりぐらりと身体が揺れて、凪子は慌てて桃馬の腰に強くしがみついた。
…温かな細身の筋肉質の背中が、微かにびくりと引き締まった。
爽やかな青年らしい柑橘系の香りは、フレグランスなのだろうか…。
…李人様とは…違う…。
「…凪子ちゃん、本当に乗ってる?
…妖精さんみたいに軽いな…」
…やや照れたような声が聞こえた。
「…は、はい…!乗ってます…!」
「じゃ、行くよ。
俺オススメの行列ができないヤベェ店に出発!」
「は、はい…!」
凪子は桃馬の腰にぎゅっと腕を絡め、進み始めた自転車に身体を預けた。