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それが運命の恋ならば
第3章 愛と哀しみの夜明け
「…お父さん…ですか…?」
「そ。高遠泰彦さん。
あの高遠一族の当主。
トキからちらっと聞いたけどさ、凪子ちゃんだけが実子らしいよ。
ほかに子どもはいないんだってさ。
高遠さん今、病気でとにかく凪子ちゃんに会いたがってるらしい。
…まあ、兄貴は会わせる気はさらさらないんだろうけどね。
会いたい?凪子ちゃん?」

凪子は静かに箸を置いた。
「…分かりません…。
私、ずっと親はいないと思っていましたから。
貴女は捨て子だ。天涯孤独な身の上だと言われて育ちました。
だから、今急に父親がいる…て聞かされても…どうしたら良いか…」

「何何何〜!?
ちょっとお!
昔の大映ドラマか花王愛の劇場みたいなそのエピソード何何〜⁈」
ケンが瞬足で二人のテーブルに飛んできた。

「盗み聞きすんなよ」
「ああん。聞こえちゃったんだもん!仕方ないじゃない!
ねね!凪子ちゃんてあの高遠一族のお嬢様なの?
どゆこと?
ねえ!絶対オフレコにするから!教えてよ〜お!」

桃馬はやれやれと肩を聳やかした。

「仕方ねえなあ。
…凪子ちゃん、ケンちゃんに話してもいい?
ケンちゃんならいざと言うとき、力になってくれると思う」
「なるなる!もちろんなるわよお!アタシ、凪子ちゃんのファンだもん!」

「…はい。私はかまいません」
凪子は頷いた。
もとより、秘密にするつもりもなかったからだ。

「絶対内緒だぞ?」
「うんうん!モチよ!
指切りげんまん、する⁈」
「しねえし」
…あのな…。

桃馬は、凪子の出生の秘密について、話し始めた。
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