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それが運命の恋ならば
第1章 出逢い
『凪子!
結婚てどういうことや⁈
なんでそんなバタバタと出ていかなならんのや⁈
しかも、一回しか会ったことしかない訳のわからん奴のとこに⁈』
部屋の片付けをしている凪子のもとに、荒々しく入ってきたのは、小学校からの幼馴染で、鞍馬寺そばの大きな漬物屋の息子、大原雄大だ。
どうやら、凪子の結婚話を何処からか聞きつけたらしい。

『雄ちゃん…!』
尼寺は基本的に男子禁制だ。
特に庵主は、凪子のそばに雄大が近づくのを癇性に嫌った。

『庵主様に見つかったら叱られる…』
慌てる凪子に怒りを露わにしながらずかずかと近づく。
そうして、凛々しい眉を顰めながら、凪子の華奢な肩を強く掴んだ。
『かまへん!あんなクソババア!なんや、凪子を都合がええときだけ利用しやがってからに!
ほんまハラ立つわ!ちくしょう!ちくしょう!』
『…雄ちゃん…』
…雄大は昔から凪子の味方だ。
みなしご、みなしごと同級生たちに虐められた時、大喧嘩になりながらも庇ってくれたのは雄大だった。

『凪子を泣かせるヤツは俺がブッ殺す!
覚えとけ!』
そう言って、凪子に陰湿なイジメを繰り返していた同級生の肋骨を二本折った。
これは学校でも大問題になったが、雄大は決して謝らなかった。
『凪子、俺はいつでも凪子の味方や。
凪子のことは俺が守る。
いつでも困ったことがあったら俺に言うんやで』
そう言って、泣きじゃくる凪子に雄大はくしゃくしゃの笑顔を見せた。

…その頃から今まで、雄大は少しも変わらず凪子を見守ってくれていたのだ。
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