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それが運命の恋ならば
第3章 愛と哀しみの夜明け
…その夜、凪子はひとり離れにある露天風呂に入っていた。

夜の静寂が支配する闇の中、近くから潮騒が聞こえる。
真新しい檜の良い香りが、凪子の心をゆったりと解してゆく…。

露天風呂は、まるで高級温泉旅館にあるような本格的な設えのものだった。
周りは杉戸で囲まれているので人目に触れることはない。
その代わり、見事な枝垂れ桜の大樹が露天風呂の上空を覆い尽くすように枝葉を広げていた。
まるで桜の天蓋だ。
夜風に誘われるように、薄紅の花弁がふわりと凪子の白い肩に舞い落ちた。

…凪子は微笑みながら白く細い指先で拾う。

…おうちに温泉なんて、本当に贅沢だわ…。
ゆっくりと脚を伸ばし、眼を閉じる。

…雄ちゃんに…手紙を書こうかな…。

無事に結婚式を終えたこと。
夫となったひとは、とても紳士で優しいひとだから安心してほしいこと…。

…まるっきり、嘘ではないわ。
凪子は自分に言い聞かせるように考える。

…李人様は、わざわざ私に家庭教師をつけてくださる…て仰ったもの。

心に明るい光が差し込んだかのように、気持ちが弾み出す。

…お勉強を続けていたら、高卒認定試験が受けられる。
そのほかにも語学、歴史、化学、知りたいことがたくさんある。
それらを学ぶチャンスをくださったもの…!

凪子は思わず嬉しさから、ひとり小さく笑った。

…手紙を書こう。雄ちゃんに…。

心を決めて、手足を伸び伸びと伸ばした刹那…。
外に面した浴室の引き戸が、音を立てて開かれた。

はっと振り返り、凪子は思わず息を呑んだ。

「…李人…様…」
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