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それが運命の恋ならば
第4章 闖入者
「へえ。あいつが凪子ちゃんの家庭教師なの」
桃馬はどこか面白く無さそうに東屋の椅子にどさりと腰掛けた。
相変わらず着崩した制服姿だが、一応登校はしているらしい。

夕風は潮の香りを濃く運んでくる。
空を染め上げる夕焼けは茜色で、見惚れるほどに綺麗だ。

「なんだかキザでタラシっぽいヤツじゃね?」
ふんと桃馬は鼻を鳴らした。
丁度帰りしなの間宮と玄関先ですれ違ったのだ。

「…そんなことはないと思いますけど…」
凪子は困ったように瞬きした。

「李人様の後輩の方ですし…お優しそうな方でした」
確かに間宮は親切そうだった。
気さくで明朗な性格らしく、大人しい凪子に気を遣ってなにくれとなく話しかけてくれた。

李人は紹介を終えると
「私は仕事があるのでこれで…。
凪子さん、間宮くんにお茶を差し上げてください。
トキに言って用意をさせておきましたから」
と、あっさりと姿を消してしまったのだ。

だから客間で二人きりでお茶を飲んだのだが、話上手な間宮のお陰で沈黙も気にならず、なかなかに楽しい時間は過ごせた。

「…兄貴も何考えてんのかなあ。
若くてまあまあな男前を凪子ちゃんの家庭教師になんてさあ〜」

…ま、俺には劣るけどな…と、桃馬が嘯いたので凪子は思わず吹き出した。
「桃馬さんたら…」
笑い出した凪子を見て、桃馬は眩しげに照れたように笑ったのだ。
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