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それが運命の恋ならば
第4章 闖入者
翌日から間宮による授業が始まった。
…離れの洋客間。
人の出入りの激しい母屋と違い、静かで集中出来るからと李人が決めたのだが…若い男と二人きりというのは、やはり落ち着かない。
けれど、間宮は全く気にかけないようだった。
伸び伸びと屈託なく陽気に授業を始めた。
「それでは英語から始めましょう。
英語は勉強だと思わずに音楽を楽しむように慣れ親しんでゆけば良いんですよ。
まずは音。
耳からたくさん英語をインプットして、耳に馴染ませてゆきましょう」
英語教材は子どもっぽいものではなく、かと言って難しすぎるものでもなく、凪子にはちょうど良かった。
間宮の授業はとても分かりやすく楽しかった。
凪子が中学しか出ていないことも知っているはずだが、敢えてそのことに触れることもなく、英語の基礎からじっくり丁寧に教えてくれた。
とりわけ間宮の英語はとても流暢で美しく、尚且つ聴き取りやすかった。
まさに、音楽のようだ。
思わず、ため息が漏れる。
「どうしましたか?
疲れましたか?」
尋ねられ、慌てて首を振る。
「い、いいえ。
間宮先生の英語の発音がとても綺麗で…。
私もそんなふうに話せたらなあ…て思ったのです」
間宮が好意的な笑みを浮かべた。
「僕なんかより、一之瀬先輩の方がずっと英語は流暢なんですよ。
…それに…凪子さんならすぐに上手に話せるようになりますよ。
貴女はとても賢い方だから…。
すぐに分かりました。
さすがは一之瀬先輩が見染められた方だ」
見つめられ、恥ずかしくて俯く。
「…そんな…私なんて…」
…中学しか卒業していませんし…。
日本の最高学府を卒業した李人や間宮から見たら、取るに足らない人間に見えるに違いない…。
「学歴なんて関係ありませんよ。
大切なのはそのひとの感性や知性、それから品性だ」
間宮がぐっと近づき、凪子を正面から覗き込んだ。
「…貴女はそれらすべてをお持ちだ…。
…それから…類い稀なる美貌もね…」
思わず身を硬くする凪子を眼を細めて見つめ、謎めいた一言をそっと付け加えたのだ。
「…一之瀬先輩も、罪な人だ…」
…離れの洋客間。
人の出入りの激しい母屋と違い、静かで集中出来るからと李人が決めたのだが…若い男と二人きりというのは、やはり落ち着かない。
けれど、間宮は全く気にかけないようだった。
伸び伸びと屈託なく陽気に授業を始めた。
「それでは英語から始めましょう。
英語は勉強だと思わずに音楽を楽しむように慣れ親しんでゆけば良いんですよ。
まずは音。
耳からたくさん英語をインプットして、耳に馴染ませてゆきましょう」
英語教材は子どもっぽいものではなく、かと言って難しすぎるものでもなく、凪子にはちょうど良かった。
間宮の授業はとても分かりやすく楽しかった。
凪子が中学しか出ていないことも知っているはずだが、敢えてそのことに触れることもなく、英語の基礎からじっくり丁寧に教えてくれた。
とりわけ間宮の英語はとても流暢で美しく、尚且つ聴き取りやすかった。
まさに、音楽のようだ。
思わず、ため息が漏れる。
「どうしましたか?
疲れましたか?」
尋ねられ、慌てて首を振る。
「い、いいえ。
間宮先生の英語の発音がとても綺麗で…。
私もそんなふうに話せたらなあ…て思ったのです」
間宮が好意的な笑みを浮かべた。
「僕なんかより、一之瀬先輩の方がずっと英語は流暢なんですよ。
…それに…凪子さんならすぐに上手に話せるようになりますよ。
貴女はとても賢い方だから…。
すぐに分かりました。
さすがは一之瀬先輩が見染められた方だ」
見つめられ、恥ずかしくて俯く。
「…そんな…私なんて…」
…中学しか卒業していませんし…。
日本の最高学府を卒業した李人や間宮から見たら、取るに足らない人間に見えるに違いない…。
「学歴なんて関係ありませんよ。
大切なのはそのひとの感性や知性、それから品性だ」
間宮がぐっと近づき、凪子を正面から覗き込んだ。
「…貴女はそれらすべてをお持ちだ…。
…それから…類い稀なる美貌もね…」
思わず身を硬くする凪子を眼を細めて見つめ、謎めいた一言をそっと付け加えたのだ。
「…一之瀬先輩も、罪な人だ…」