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秘匿の闇市〜Midnight〜
第4章 淫蕩の婦人会

* * * * * * *

 食欲を満たした女達が次に満たすべきとしたのは、肉欲だ。


 客達の興味の中心は、今日、あさひの他に誰が未経験であるかだ。

 彩月が佳子に雇われた当時、まだ家政婦は少なかった。それもあってか、無知で無垢な積もりたての雪のような生娘を開拓したいという傾向は客達の中でも薄かったし、最近でも、たまきなどは愛嬌より話題の引き出しに重点が行って、女達の支配欲はそそらなかった。


 つまりあさひに引けをとらない幼さと、彼女と同じ、純潔。

 それらを備えた新入りが求められたところで、佳子が一人の家政婦を指した。


「久保さん」

「はい」

「貴女は、確か──…」

「多分、まだ、そうです。……前に付き合っていた人と、ホテルで裸になったことはありますけれど、途中で痛くて……」

「なら、今からこの中の誰かと、或いは数人と交わっても問題ないわね?」

「えっと……」

「知っていると思うけれど、相応の手当てはお支払いするわ」


 久保蘭子。

 十八歳の彼女は専門学校一年目で、十七歳にしてはどこか色香も強いあさひより、顔立ちも幼い。初々しいのは風貌だけでなく、さっきから女達の露骨な話題にも頬を染めたり、スキンシップには恥ずかしげに応じたりして、今も大きな目を潤ませて、俯いている。
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