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秘匿の闇市〜Midnight〜
第4章 淫蕩の婦人会


 あの日の夕方、初めて彼女の唇に触れた時と同じだ。羞恥が芽吹く。背徳感に責められながら、野外で露出するのとは違う。むず痒く、穴があれば入ってしまいたい、身の縮こまる感覚。それは彩月と口づけたり、不意に目と目が合ったりした時、発作のようにあさひを襲う。

 やはり、身体がおかしいのか。


ぼと……


「っっ……」


ぶりゅりゅりゅ……ぼたぼた……ボトッ…………



 腹の緊張が一気に解けた。あまりに重々しかった悪感が、あまりに呆気なく抜け出していく。異臭が辺りに充満し出す。


「ふぁっ……」


 彩月と絡めていた舌がほどけて真っ先に、あさひは足元を見た。

 あさひは、本当に用を足していた。

 バケツに大便を余儀なくされるのは、日常だ。しかし、よりによって彩月とキスしていた最中に、あさひは尻から出してしまった。それも、液体混じりの、腹を下した時に出る状態のものだ。


「やっと出た。あーあ、バケツ以外でやっちゃったね、あさひ」

「っ…………」


 動物も同然だ。自分の欲求も抑えられない、本当に、あさひは佳子の言う通り、人間の姿を騙っただけの動物だ。


 鼻の奥がつんとする、みじめで泣きそうになる理由を考える暇もなく、数人の女達がスマートフォンのカメラを向ける中、佳子が次の指示を出した。


「彩月。そのどうしようもないペットをお仕置きなさい。その前に、お尻だけ掃除してあげると良いわ。圭、亜子。床は貴女達が片づけなさい」
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