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秘匿の闇市〜Midnight〜
第4章 淫蕩の婦人会
彩月の古傷にさえ躊躇わなければ、美影の性技は加虐においても確かだろうとは、明白だ。
しかし彩月は、鞭が身体を殴打しても、苦痛も恍惚も得られない。得られるとすれば、不安だけだ。
「あああっ……小松原さん……──小松原さん……ァンッ……ああっっ!!」
ひゅんっ……
ビシィィィッッ…………
「大好き……好きです……小松原さん…………ああアッっ…………」
古傷を上塗りするのが美影でも、すこぶる取るに足りない相手に破瓜を許した潤みを貫くのが彼女でも、彩月は佳子を呼び求める。敬愛とも愛情ともつかない求愛を、無我で叫ぶ。
そして、目隠しが外れて現実を突きつけられる。
「林さんが貴女に会いたがっていたわ。行ってあげてくれる?美影」
近親の家政婦を部屋から出すと、佳子が彩月に腕を伸ばした。抱擁の誘いを受けて、彩月は佳子の匂いの染みた寝台で、彼女のキスを受け入れる。
「可愛いこと。貴女が私のものになれば良いのに」
「嘘ばっかり。……小松原さんは、あたしを復讐に利用したいだけ」
「ええ、そうよ。だから貴女が可愛いの。私は貴女を使用人として雇って、こうして自由にすることも出来る。気休めや自己満足だと後ろ指を差されても良い。────を、辱めている気分になれるの」
佳子の口にした女の名前。女の苗字。
今夜は、もう聞きたくなかった。
第4章 淫蕩の婦人会──完──