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秘匿の闇市〜Midnight〜
第5章 禁じられた二人
* * * * * * *
昼間は叔父側の親族達が訪ねてきて、あさひと血の繋がらない従姉妹達も含めて、持ち寄りのお節料理を囲った。
育江は毎年、数軒の有名料亭で持ち帰りを予約している。それらは今年も彼らの絶賛を受け、あさひも舌鼓を打った。
叔父の妹夫婦の持ち寄るお節料理は、西洋風の品目もある。昨年まで禁じられていた脂身の強いものにも躊躇いなく箸をつけたあさひに、従姉妹達は剛史と同じ反応を見せながら、食事制限をやめても美しいと言って羨んだ。
「そうそう、あさひちゃん。はいお年玉」
「有り難うございます」
「そうだ、あさひ。私も渡すの忘れてた」
「志乃ちゃんなぁ、洋服渡してそれ忘れるって、正月なのにあり得ねー」
「そう言うあんたは」
「はは、俺も忘れてた」
志乃達を始め、盆や正月くらいにしか顔を合わせることのない大人達。彼らの一人一人に礼を言いながら、あさひはポチ袋を受け取っていく。
「叔母さん」
「オーケー。預かっとくね。あさひちゃんあんまり買い物しないから、貯金すごい増えてるよ。今から結婚資金でも考えてるの?」
「いえ、欲しいものが思いつかなくて……」
外出時の洋服も、最近は佳子がいつの間にか用意している。それでなくても遊びに出かけるような友人のいなかったあさひが、最近になって更に出費をしなくなったところで、志乃も怪訝な顔をしない。