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秘匿の闇市〜Midnight〜
第5章 禁じられた二人
* * * * * * *
親族達を駅まで送り届けたあと、志乃達があさひと彩月を連れて、帰り道とは別方向へ車を走らせた。
山道に入った時は寒気が深まる日没前で、にわかにあさひは肩を抱いたが、整備された道を進んでいくと、やがて煌びやかなライトアップが目に飛び込んできた。
高い位置から見下ろす街は、絶景だ。加えて、干支や松竹梅をモチーフとした点灯が、客達の歓声を集めている。
この催しは、デートスポットとして人気らしい。もちろん友人同士で足を運んでいる客もいて、彩月のスマートフォンのカメラアプリで、あさひも彼女と撮影し合った。
一緒に写れば、という志乃の提案に後押しされて、あさひ達はひときわ豪華なイルミネーションに囲われた石を背にして並んだ。一見、何の変哲もない石は、よく見ると、二人連れの客達が行列を待ってまで撮影したがっていた。
「気になるなら、あとでネットで検索してみな。はい、チーズ」
「有り難うございます」
「じゃあ、送るね。彩月ちゃんAir Drop出来る?それかLINE交換しない?」
「あ、はい。…──っ、と。読み取れますか」
「ありがと。いけたいけた。じゃ、送信」