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秘匿の闇市〜Midnight〜
第5章 禁じられた二人
愛されたかった。陽音が彩月を拒絶するだけ、彩月は陽音の愛に飢えた。
陽音に従っていれば、彼女の憎しみを受け入れていれば、いつか愛着の対象になれる。彩月の想いが彼女に通じる時が来る。…………
無条件に期待して、彩月は陽音に処女である証も見せた。
彼女が産婦人科に勤務している友人に借りてきたという器具が、脚と脚の間を割り、肉襞の小路を全開にした。彼女はそこを丹念に覗いて調べた末、これだけでは証拠にならないと言って、自慰を命じた。
出血すれば、隆との間に何もなかったことにしてあげる。
やっとあんたを愛せるかも知れないわ。
頷いていれば、本当に今度こそ愛を得られていたかも知れない。
陽音が家を出たあとも、しばらくの間、彩月は考えることがあった。
しかし初潮も迎えたばかりの女の潤みに、自ら指を入れることの恐怖が上回った。
…──出来ないなら、もう愛されない身体にしなくちゃ。綺麗に生まれてきたことを、悔いるくらいに。
陽音の声は、掠れていた。悲しく、体温も失くした喉が送り出している音色だった。
こんな風に傷があれば男は引くだの、ここまで見苦しければ隆でも目を逸らすだの、陽音は彩月のあらゆる部位に瑕疵を刻んだ。全裸にして、両手首をテーブルの脚に縛りつけて、ある時は強力洗剤を染ませたタワシで腕や背中をこすり、ある時は恥毛を剃り落とした上で、鼠蹊部から陰部にかけてホッチキスを留めていった。不自然に開いた肉襞に笑って、露出した陰核に剃刀を近づけてからかうと、最後は血だらけの下半身から針を抜いていく彩月を眺めながら、陽音はコーヒーを味わった。