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秘匿の闇市〜Midnight〜
第5章 禁じられた二人


 水から打ち上げられた魚よろしく、あさひは全身を撓らせていた。脚と脚の間に触れられてもいない内から、ショーツがぐっしょり湿っている。

 欲しい。

 味わったことのない刺戟が欲しい。

 反面、この綿菓子のような快楽をいつまでも泳いでいたいという望みが天にでも通じているのか、未だにあさひは腰から上だけを露出して、行き来する愛撫にとろけていた。彩月と交わすキスは甘く深く、絡み合う指と指は、まるで恋人だ。彼女のキスが、おりふし、あさひの指の付け根に触れる。


「あの人にも、こんな顔……見せてたの?」

「おばぁ、ちゃはっ……ァンッ、……勉強、させてくれていただけだから……──ッ、役に立つこと教えてくれていただけだから……ァァッ……」


 彩月がくすりと笑った。思わずこぼれ出た、と形容し得る微笑みを飾るのは、美しいだけにとどまらない、あさひを見つめる優しい目だ。


 夜の寒気からさえあさひを守るようにして、彩月は寝巻きのボトムを脱がせながら、あさひの唇を啄んだ。
 彼女の毛先が、あさひの鎖骨や腕をくすぐる。彼女の体温が、布一枚を通してあさひに染みる。


「はぁっ、はぁ……」


 使い物にならなくなったショーツを失くしたあさひは、生まれたままの姿で、寝台に仰向けになっていた。
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