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秘匿の闇市〜Midnight〜
第5章 禁じられた二人
お祓いでも行ってきたら、という佳子の諧謔に、彩月は本気に取りかけた。
それなら育江に負債を負わせてでもクーリングオフするか。
佳子が首を横に振るのは、彩月よりあさひが大事だからとは一概に言えない。
「あの子の母親が非道だったこと、私は痛感してる。……だから、よ。似てないじゃない。あのおばあさんに返してでもみなさい、あの子が今度はどうなるか」
「やっぱり、助けるために落札を」
「貴女に似ていて可愛かったから、なんて言ったら、辞表を出すでしょう」
扉越しに、爽快な機械音が聴こえていた。さっき顔を合わせたたまきが、掃除機をかけているのだろう。
少なくとも誰かの目に触れる時は、先にノックの音が聞こえる。
彩月は、ソファに移動させた佳子の首筋を啄みながら、はだいたジャケットに覗くシャツのボタンを外しにかかった。
まるで咽せるような匂いを醸す、温室の薔薇だ。メリハリのある彼女の肉体が白い生地に凹凸を浮かべて、剥かれるのを待っている。
「ぁあっ、……」
ベージュのブラカップを剥き出しにして、白い鎖骨に吸いついて、膨らみを掴む。彼女の太ももを撫でながら、彼女の名前を繰り返し呟く。
それが彩月の、佳子をどうしても見捨てられない意思表示だ。